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新カテゴリー戦略を実現するABM実践論:理想の顧客と「第一想起」を共創するロードマップ

理想の顧客と「第一想起」を共創する。 カテゴリー戦略を実現する ABM実践論。

現代のBtoB市場において、多くの企業が「選ばれる理由」を見失い、終わりなき価格競争と機能比較の消耗戦に陥っています。リード獲得数やCPAといった指標を追いかけるほど、顧客との関係性は希薄になり、自社が持つ本来の価値は、情報の海に沈んでしまう。この構造的な課題に対し、私たちは根本的な問いを立て直す必要があります。

問うべきは「いかにして、より多くの顧客に売るか?」ではありません。

自社が創り出すべき未来の市場(カテゴリー)を、いったい誰と創り上げていくべきか?」 です。

この問いに答えるための経営戦略、それがアカウントベースドマーケティング(ABM)の本質です。

この記事では、ABMを単なる「優良顧客を狙い撃つマーケティング戦術」として解説することはしません。ABMとは、自社が定義すべき新カテゴリーの「最初の住民」となるべき理想の顧客を特定し、彼らとの深い対話を通じてカテゴリーそのものを磨き上げ、市場における「第一想起」を確立するための、極めて戦略的なブランド構築のフレームワークなのです。

序章:なぜBtoB市場は「選ばれない」戦いに疲弊するのか?

構造的課題:情報過多とコモディティ化という大きな流れ

今日のBtoB市場は、その構造が根底から変わりつつあります。デジタル化の進展によって、あらゆる情報が誰でも簡単に手に入るようになり、顧客は営業担当者と会うより遥か前に、広範な情報収集を独力で終えています。この「ダークファネル」と呼ばれる現象は、企業が顧客の購買プロセスの初期段階で影響を与える機会を大きく減らしました。

同時に、技術の標準化は製品やサービスのコモディティ化(同質化)を加速させ、機能やスペックでの差別化を極めて難しくしています。その結果、多くの企業が「より良い製品」ではなく「より安い製品」で戦うことを強いられ、利益率の低下と激しい消耗戦という、出口のない迷路に迷い込んでいるのです。

従来型アプローチの限界点

こうした状況に対し、従来のリードベースドマーケティングはもはや有効に機能しづらくなっています。不特定多数の個人(リード)を大量に獲得し、その中から有望な顧客を絞り込む「網漁」のようなこのアプローチには、いくつかの大きな課題があります。獲得したリードの多くは、自社の理想の顧客像とはかけ離れており、成約に結びつきません。質の低いリードのフォローに貴重な営業リソースを割くことは、結果として投資対効果(ROI)を著しく下げることになります。何より深刻なのは、このアプローチが「誰でもいいから、とにかく多く」という考えに基づいているため、自社が本当に価値を提供できるはずの顧客との深い関係づくりを、むしろ妨げてしまうという点です。

今、立てるべき本質的な「問い」

ここで、私たちBtoBブランドの戦略家が立てるべき問いは、根本から変わらなければなりません。

「どうすれば、このレッドオーシャンで勝ち残れるか?」ではありません。

自社だけが提供できる独自の価値を核として、まったく新しい市場(カテゴリー)を創れないか?」です。

そして、その問いは次の問いへと繋がります。

その新しいカテゴリーの価値を、最初に理解し、共に育て、世に広めてくれるパートナーは誰なのか?

この、未来の市場を共に創るパートナーを特定し、深く関わっていくための戦略思想こそが、アカウントベースドマーケティング(ABM)なのです。

第1章:ABMを再定義する:単なる戦術から「カテゴリー創造の羅針盤」へ

ABM(アカウントベースドマーケティング)の戦略的本質

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、自社にとって戦略的に重要で収益への貢献度が高い特定の企業(アカウント)を明確に定め、そのアカウントからのLTV(顧客生涯価値)を最大化することを目指す、マーケティングと営業が一体となった戦略的アプローチです。

このアプローチの根幹には、個々のアカウントを「たった一つの市場(Market of One)」として捉える考え方があります。不特定多数に同じメッセージを送るのではなく、ターゲット企業のビジネス課題や組織構造、そして購買に関わる一人ひとりの役割や関心事を深く理解した上で、それぞれに最適化された体験を提供するのです。

考え方の根本的な転換:「網漁」から「銛漁」へ

従来のリードベースドマーケティングとの違いは、アプローチの考え方そのものにあります。両者の根本的な違いを明確にするため、その特徴を比べてみましょう。

リードベースドマーケティング アカウントベースドマーケティング (網漁) (銛漁) 不特定多数のリード 絞り込まれた顧客 特定のアカウント 関係者を拡大 量を重視 質を重視

この転換がもたらす最も大きな価値は、リソースの最適化です。質の低いリードに費やしていた無駄なコストと時間をなくし、最も価値の高い関係づくりにすべてのリソースを集中させることで、ROIを劇的に向上させることが可能となります。

戦略に応じて使い分けるべき「ABMの3つのモデル」

ABMは画一的なアプローチではありません。対象とするアカウントの価値や数に応じて、主に3つのモデルを使い分けることが成功の鍵となります。

  • Strategic ABM (1-to-1):
    最も戦略的価値の高い、ごく少数(1〜数社)のアカウントに対し、完全に個別最適化したアプローチを行う最上位モデルです。専任チームを編成し、その企業のためだけのマーケティング・営業プランを策定・実行します。目的は、経営層レベルでの戦略的パートナーシップを築き、大きな収益機会を創出することです。
  • ABM Lite (1-to-Few):
    似たようなビジネス課題を持つ小規模なアカウント群(5〜10社程度)を一つのグループと捉え、共通のテーマでカスタマイズしたキャンペーンを展開するモデルです。1-to-1ほどの個別化は行わず、効率性とパーソナライゼーションのバランスを取ります。
  • Programmatic ABM (1-to-Many):
    数百から数千のアカウントリストに対し、テクノロジーを駆使してアプローチを自動化・拡大させるモデルです。MA(マーケティングオートメーション)などを活用し、業種や企業規模といった情報に基づいてメッセージを出し分け、幅広いターゲットに対する認知向上や初期の関心を獲得することを目指します。

ICP:「新カテゴリー」の最初の住民を定義する

ここで重要なのは、ABMにおけるターゲット選定の基準となる「理想顧客プロファイル(ICP:Ideal Customer Profile)」の捉え方です。ICPとは、過去の優良顧客の共通点(業種、企業規模、成長率など)を分析し、自社が最大の価値を提供できる顧客像を定義したものです。

しかし、カテゴリー創造の観点では、ICPはさらに重要な意味を持ちます。それは、自社がこれから創り出す「新カテゴリー」の価値を、誰よりも早く理解し、共感し、その必要性を世に広めてくれる「最初の住民」であり「共創パートナー」の定義そのものなのです。誰でも良いわけではない。このICPの解像度が、新カテゴリーの成否を大きく左右します。

第2章:ABMがBtoBブランディングを根底から変える仕組み

ABMは、単に売上を上げるための戦術ではありません。顧客との関係性を再定義し、企業のブランドそのものを根本から強くする、強力なブランディング戦略です。

パーソナライゼーションが「信頼」を育み、「第一想起」を生む

ABMの核は、徹底したパーソナライゼーションです。ターゲット企業のビジネス課題、さらには組織内のキーパーソン一人ひとりのミッションを深く理解し、最適化された情報を提供すること。このアプローチは、顧客に「この会社は、私たちのことを深く理解してくれている」という強い認識を与えます。この「理解されている」という感覚こそ、BtoBにおける信頼関係の出発点です。時間をかけて築かれた信頼は、企業を単なる「取引先」から、なくてはならない「戦略的パートナー」へと押し上げます。そして、顧客が将来、関連する課題に直面した際に、真っ先にあなたの会社を思い出す「第一想起」の強固な基盤となるのです。

一貫したブランド体験が「カテゴリーの常識」を創り出す

強力なブランドは、一貫した体験を提供します。ABMは、営業部門とマーケティング部門の緊密な連携を大前提としているため、この一貫性を組織ぐるみで担保する仕組みとして機能します。両部門がターゲット企業に対して共通の理解と目標を持つことで、マーケティングが発信する情報と、営業が商談で語る内容のズレがなくなります。顧客はどの接点でブランドに触れても、混乱することなく、一貫した質の高い顧客体験(CX)を得ることができます。このスムーズな体験の積み重ねが、あなたの提唱する新しい考え方、つまり「新カテゴリー」を、顧客の頭の中で揺るぎない「常識」として根付かせていくのです。

高価値顧客との「共創」が、ブランドの輪郭を形づくる

ABMを実践するプロセスは、本質的に顧客との「価値共創」のプロセスです。一方的に製品を売り込むのではなく、顧客のビジネスに深く入り込み、課題解決に共に取り組みます。この対話を通じて得られる顧客からのフィードバックは、製品やサービスの改善、ひいては新しいソリューション開発に直結する、非常に価値の高い情報資産です。このプロセスを通じて、顧客は単なる「買い手」から、ブランドの価値を共に創り上げる「パートナー」へと変わり、最も力強いブランドの応援団(ブランドアドボケイト)となるのです。

レピュテーションが強力な「社会的証明」となる

BtoB市場において、企業の評判(レピュテーション)は非常に重要な無形資産です。ABMでは、業界のリーダー企業をターゲットに設定し、集中的にリソースを注いで成功事例を創出することで、この評判を戦略的に築き上げます。その成功が「あの先進的な企業が採用しているソリューション」として認知されれば、それは他の企業にとって強力な信頼の証(ソーシャルプルーフ)となります。多くの企業は成功している同業他社の選択を参考にするため、「あの会社が選ぶなら間違いない」という信頼感が、ブランド全体の評価、ひいては新カテゴリー全体の正当性を高めてくれるのです。

第3章:カテゴリー共創を実現するABM実践ロードマップ【6ステップ】

ABMをBtoBブランディング戦略の中核に据えるには、体系的なプロセスに落とし込むことが不可欠です。ここでは、カテゴリー共創を実現するためのロードマップを6つのステップで解説します。

カテゴリー共創による 第一想起獲得 Step 1 定義 Step 2 傾聴 Step 3 翻訳 Step 4 対話 Step 5 拡張 Step 6 進化

Step 1: 【定義】誰とカテゴリーを創るか?

アクション:ICPの策定とTALの作成

ABMの成否は、最初のターゲット選定で大半が決まります。

  • ICP(理想顧客プロファイル)の策定: 既存の優良顧客データを徹底的に分析し、業種、企業規模などの共通点を抽出してICPを策定します。このプロセスは必ず営業部門と共同で行い、現場の意見を反映させます。
  • TAL(ターゲットアカウントリスト)の作成と優先順位付け: ICPに合致する企業をリストアップし、TALを作成します。リストアップした企業を、戦略的重要性に応じて「Tier 1」「Tier 2」のように優先順位付けし、それぞれに適用するABMモデルを決定します。

Step 2: 【傾聴】顧客の「声なき声」を聴く

アクション:アカウントインサイトの収集と購買委員会のマッピング

ターゲットを定めたら、次はその企業を深く「知る」フェーズです。

  • 多角的な情報収集: 公開情報に加え、営業担当者が得た非公式情報、さらには特定のトピックへの関心を示すインテントデータなど、あらゆる情報を集めます。
  • 購買委員会のマッピング: BtoBの購買には複数の担当者が関わるため、企業内のキーパーソンを特定し、それぞれの役割(意思決定者、ユーザーなど)、影響力、関心事を整理することが不可欠です。

Step 3: 【翻訳】カテゴリーの価値を届ける言葉を創る

アクション:パーソナライズ戦略の策定

集めた情報に基づき、企業に最適化されたアプローチ戦略を設計します。

  • コンテンツとメッセージの開発: 企業全体のビジネス課題やキーパーソン一人ひとりの立場に合わせて、心に響くコンテンツとメッセージを開発します。
  • チャネルの選定: 相手が最も利用するであろうチャネル(SNS広告、業界メディア、イベント等)を組み合わせ、戦略的に設計します。

Step 4: 【対話】一貫したブランド体験を届ける

アクション:オムニチャネルでの施策実行

策定した戦略に基づき、いよいよアクションを起こします。重要なのは、各チャネルが連携して一貫した顧客体験を提供する「オムニチャネル」という考え方です。複数の接点を連動させたシナリオを実行し、このプロセス全体を通じて、営業、インサイドセールス、マーケティングが密に連携することが求められます。

Step 5: 【拡張】テクノロジーで対話の質と量を高める

アクション:テクノロジースタックの戦略的活用

現代のABMは、テクノロジーの活用なくしては成立しません。

  • CRM/SFA: 顧客情報や営業活動を一元管理する基盤となります。
  • MA: コミュニケーションを自動化し、関心を育てます。
  • ABMプラットフォーム: アカウント単位での広告配信やエンゲージメント測定を統合的に支援します。
    これらを連携させ、パーソナライズされた体験を効率的に提供する基盤を構築します。

Step 6: 【進化】対話から学び、カテゴリーを磨く

アクション:効果測定とPDCAサイクルの構築

ABMは「実行して終わり」ではありません。施策の成果を定期的に測定・評価し、改善を続けるPDCAサイクルが不可欠です。その際、成果を3つの階層で評価する「3つのR」のフレームワークが有効です。

Revenue (収益) Relationships (関係性) Reputation (評判)
  • Reputation (評判): ブランド認知度や想起率の変化を測定します。
  • Relationships (関係性): アカウントエンゲージメントスコアなど、関係の深化を測定します。
  • Revenue (収益): パイプライン創出額や受注率など、直接的なビジネス成果を測定します。

第4章:組織の壁を越える:「ワンチーム」でカテゴリーの価値を体現する

しかし、どれだけ精緻な戦略を立てても、それを実行する「組織」という土台がなければ、机上の空論で終わってしまいます。ABMの成功において最も重要かつ難しい課題は、営業部門とマーケティング部門の連携です。

「サイロ」がカテゴリー創造を阻む理由

従来の組織では、マーケティングはリードの「量」を、営業は「成約」を追い、目標もKPIもバラバラでした。この部門間の断絶は、リソースの無駄遣いだけでなく、顧客に対する一貫性のない、ちぐはぐなコミュニケーションを生み出します。新しいカテゴリーという、まだ世にない価値を伝えようとする際に、社内のメッセージが統一されていなければ、顧客がそれを信頼し、理解することは決してありません。連携不足は、ABMが失敗に終わる最大の要因なのです。

「収益チーム」へ変革を促す5つのベストプラクティス

真の連携とは、両部門が顧客に対して一つの「Revenue Team(収益チーム)」として機能することを意味します。そのための具体的な実践策は以下の通りです。

  1. 共通の目標とKPIの設定:
    「ターゲットアカウントからのパイプライン創出額」「アカウントエンゲージメントスコア」など、両部門が共同で責任を負うKPIを設定します。
  2. 共通言語と定義の確立:
    「有望な見込み客」の定義をすり合わせ、アカウント単位の評価指標「MQA(Marketing Qualified Account)」を導入し、営業がアプローチすべきタイミングを共有することが非常に重要です。
  3. 共同での計画策定と定例会議:
    定期的なミーティングの場で進捗や課題をオープンに話し合い、次のアクションプランを「共同で」策定するプロセスを確立します。
  4. 協調的なコンテンツ作成:
    営業担当者が顧客との対話で得た一次情報をマーケティングにフィードバックし、より顧客の心に響くコンテンツを共同で作成します。
  5. テクノロジーによる情報共有基盤:
    CRMやMAなどを連携させ、両チームが同じ顧客データをリアルタイムで見られる環境(Single Source of Truth)を整えることが不可欠です。

経営層が果たすべき役割

これらの変革は、現場レベルの努力だけでは乗り越えられない壁もあります。既存の組織構造や評価制度の見直しを伴うため、経営層がABMの戦略的な重要性を深く理解し、強力なリーダーシップでこの変革を推し進め、必要なリソースを確保することが、成功のための絶対条件となります。

第5章:先進事例に学ぶ「カテゴリー共創」の実践知

理論を実践に落とし込むために、国内外の先進企業がABMをいかにブランド価値向上に結びつけているかを分析します。

事例1:Snowflake – データで「信頼できるパートナー」を体現

  • 戦略の核心: 営業、マーケティング、パートナー企業間の徹底した連携をABM戦略の核としました。テクノロジーを駆使し、2,000以上のアカウントに対し、顧客の行動データをリアルタイムで追跡。最適なタイミングで文脈を理解したフォローアップを実施しました。
  • カテゴリーへの貢献: このアプローチは、同社が掲げる「データカンパニー」としてのブランドイメージをマーケティング活動そのもので体現する行為でした。結果、Snowflakeは「データに基づき顧客を成功に導く、信頼できるパートナー」というブランドエクイティを確立しました。

事例2:GumGum – クリエイティビティで「面白いパートナー」を想起

  • 戦略の核心: 大手通信キャリアT-Mobileを獲得するため、同社のCEOが熱狂的なバットマンファンであることを突き止め、彼をスーパーヒーローとして描く完全オリジナルのコミックブックを作成しました。
  • カテゴリーへの貢献: このユニークな贈り物はCEO本人に届き、彼が自身のTwitterで紹介したことで、ブランド認知度は爆発的に高まりました。この一件は、GumGumが単なる技術ベンダーではなく、「大胆でクリエイティブな発想を持つ、面白いパートナー」であるという唯一無二のブランドイメージを市場に植え付け、高価値アカウントの獲得に成功しました。

事例3:DocuSign – 業界特化で「専門家」のポジションを確立

  • 戦略の核心: 注力すべき6つの主要業界を選定し、それぞれの業界が持つ特有の課題やニーズに深く応える業界特化型のパーソナライゼーション戦略を展開しました。訪問者の業種を特定し、自動的に最適なコンテンツを表示するようウェブサイトを構築しました。
  • カテゴリーへの貢献: この戦略により、DocuSignは「私たちの業界特有の事情を理解している専門家」としてのブランドイメージを強力に築き、「特定業界における信頼のパートナー」というカテゴリーポジションを確立することに成功したのです。

日本市場における実践:村田製作所・VAIOの挑戦

  • 村田製作所: 名刺情報を起点にMAツールと連携させ、顧客のWeb上の行動履歴から関心を分析し、タイムリーに技術情報を提供。きめ細やかな顧客対応をテクノロジーで効率化し、「顧客一人ひとりの課題に寄り添う、頼れる技術パートナー」というイメージを強化しました。
  • VAIO: ABMをきっかけとして営業とマーケティングの壁を取り払い、「ワンチーム」としての運営体制を構築。法人向けPC市場でのシェアを大きく向上させました。これはABMが組織全体を顧客中心へと変える力を持つことを示しています。

終章:あなたのカテゴリーは、誰と創るのか?

この記事で解説してきたように、ABMは単に高価値な顧客リストにアプローチするマーケティング戦術ではありません。それは、自社の進むべき未来、すなわち「新しいカテゴリー」を、最も重要な顧客との対話と共創を通じて定義し、築き上げていくための、包括的な経営戦略です。

ABMの実践とは、顧客との関係性を通じて自社のブランドを定義し続ける、終わりのない旅路です。パーソナライゼーションを通じて信頼を築き、一貫した体験を通じて新たな常識を提示し、共創を通じて価値を進化させる。このサイクルを回し続けることこそが、コモディティ化の波に飲まれない、持続的な競争優位性を築く唯一の道です。

すべての始まりは、一つの問いに集約されます。

あなたの会社が創り出すべき新カテゴリーの、最初の住民は誰ですか?

この問いに対する解像度を高め、具体的な戦略へと落とし込み、組織全体で実行に移していく。その挑戦の先にこそ、あなたの会社が市場で「第一想起」を獲得し、カテゴリーリーダーとして新たな時代を牽引する未来が待っています。


しかし、この戦略的な対話を設計し、組織を動かし、テクノロジーを実装し、そして何より顧客との共創関係を築き上げるプロセスは、決して平坦な道のりではありません。もし、あなたがこのカテゴリー創造という挑戦に、信頼できる戦略パートナーと共に臨みたいと考えるならば、私たちW/Aがお力になれるかもしれません。私たちは、市場ではなく“新しい認識”をつくるブランディングを通じて、あなたの挑戦の最初の一歩から伴走します。